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うつ病の治療 自殺をするのを防ぐ

うつ病の診断基準に死にたいとか自殺を

考えたりすることが項目として含まれている

ほど、うつ病と自殺とは深い関係があります。


自殺を防ぐことは、うつ病の治療のなかでも

非常に大切なことです。


自殺とうつ病の関係

自殺の背景として最も多いのがうつ病です。

うつ病の患者さんには、うつ病の症状として

自殺を望む気持ちが出てくることがあります。


アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM‐Ⅳ

には、うつ病と診断するための9つの症状が

あげられていますが、その中の1つが、自殺を繰り返し

考えるという症状です。

このことからも、自殺がうつ病の重要な症状である

ということができます。


自殺の背景にうつ病がある場合が多い

自殺者に関する調査は、日本ではあまりおこなわれて

いません。

1994年に東京で自殺した人の家族に話を聞いたり、

自殺者の受診歴などを調べた調査によると、

自殺した時点で何らかの精神障害があったと

考えられる人は9割ぐらいいました。

もっとも多かったのがうつ病で5~7割を

占めていました。


うつ病の中でも一番自殺のリスクが高いのが

大うつ病です。

大うつ病の患者さんのうちの5~10%程度の

自殺が起こっているといわれています。

こうしたことからも、うつ病は命にかかわる

病気なのです。


死にたいといわれたら、驚かずに、あせらずに

ゆっくりと話を聞きます。


うつ病の患者さんのうち70%の人が、闘病中に

一度は自殺を考えるといわれています。


自殺をしたいと思うことは、うつ病では頻繁に

みられる症状です。

自殺と聞くと驚きますが、うつ病の症状であると

理解をしてできるだけ落ち着いて対応するように

します。




とにかく話を聞き、否定をしない。

本人が死にたい、自殺したいといっている

場合は、とにかく話を聞いてあげるのが大切です。


ところが、実際には、自殺をしたいといわれたことで

慌ててしまい、何ばかなことをいってるのなどと

いって話がなかったことにしがちです。


これだと、本人の話を聞かずに終わらせることに

なるので、対処の仕方としてはよくありません。

死にたいと口にするときは、それだけつらい気持ち

なんだということを伝えるサインでもあるのです。

本人にとっては大事な話なので、きちんと話を

聞いてあげることが大切です。


話をゆっくりと聞いた後で、話はよくわかった、

本当につらいんだね、と共感をします。

そして、そのうえで、でも、元気な時とはあきらかに

違っている、きっとうつ病が原因になっているんだと

思うよ、といって、精神科への受診につながるように

します。


周りの人が話を聞いてあげると本人は落ち着いて

きます。

話すことで、混乱している考えが整理されますし、

気持ちを受け止めてもらいたいという安心感が

出てきます。


身辺の整理、自殺の準備、強いイライラ感があったら

注意する。

うつ病の患者さんが自殺をする前に、兆候(サイン)

が現れていることがよくあります。

周りの人がそれに気が付くことが、自殺を防ぐ

ことにつながります。


自分を消す、発言に注意

死にたい、死んだら楽になるだろうなどといった

自殺を思わせる発言には注意が必要です。

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ただ、死にたい気持ちや自殺を望む気持ちがあっても

死にたいという言葉になるとは限りません。

気持ちの強さによってさまざまな表現になります。


自殺の危険性がまだ低い段階ではずっと寝ていたい、

事故にあってでも死にたい、消えてしまいたいといった

表現になります。

この段階は希死念慮(きしねんりょ)といって、死にたい

気持ちがあるのですが、自らの命を絶つという能動性は

高くありません。


気持ちは段階的に強くなる。

希死念慮より死を思う気持ちが強くなって、進んで命を

絶つ気持ちが含まれている場合は自殺念慮といいます。


自殺したい、自殺したら楽になるだろう、など、

死を願う気持ちの中に自殺という言葉が含まれるように

なります。


希死念慮の段階より危険性は高まっています。


自殺の手段や場所など、具体的なことまで考えている場合、

さらには自殺のための道具を準備するなどの自殺

準備行動がみられる場合は、非常に危険な段階といえます。


自殺をしようという気持ちが高くなってくると、

患者さんは、身辺整理的な行動をとることがあります。

大切なものをそれとなく人にあげたり、物の保管場所

を家族に話すなどの漠然とした行動から、遺言書

を書くなど具体的なものまであります。


このような行動がみられた場合には、自殺の危険性を強く

疑う必要があります。


強いイライラ感は重要なサイン

自殺を実行する前は、多くの人はいてもたっても

いられないような強い焦燥感を感じるようになることが

わかっています。


イライラ感やもどかしさが高じて落ち着かなくなったり

じっとしていられなくなるのだと考えられています。

ゆっくり話をするのも難しくなる場合もあります。


部屋の中を歩き回ったり、不機嫌になり、人に当たったり

することもあります。

周りの人がなだめても落ち着かず、明らかにいつもと違う

様子だということがわかります。

このような状態がみられた場合は、自殺の危険性が

高まっていると判断し、すぐにでも医療機関に連れて

いかなければなりません。

場合によっては、救急車を呼ぶくらい緊急を要する場合も

あるでしょう。

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