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体の病気とうつ病

糖尿病や高脂血症(脂質異常症)などの生活習慣病、がん、

心筋梗塞や脳卒中の患者さんで、うつ病を伴うケースが増えてきています。

もともとの病気の治療だけでなく、うつ病の治療もかかせないのです。


分かりにくいうつ病 病気のせいだと間違えやすい

体の病気を持っていると、それに伴ってうつ病がおこる

ことがあります。

体の病気を持っている人がうつ病を発症する確率は

体の病気がない人よりも高いということがわかっています。


体の病気に伴い、うつ病がおこる原因が2つあります。

1つは、体の病気が、ストレスとなることです。

がんの告知を受けたり、脳卒中の後遺症で体の自由が奪われたり

することがストレスの原因となります。

糖尿病などの慢性的な病気による日常生活の制限

も、ストレスの原因になる場合があります。

もう1つの理由は、体の病気や薬の副作用によって

脳の機能が障害されることです。


体の病気に伴ううつ病は見逃しやすい

体の病気に伴ううつ病は、周りの人に気づかれにくい

傾向があります。

病気だから元気がないのは仕方がないと思われてしまう

ためです。

患者さんがうつ病を発症しているのに、担当医さえ

見逃すケースが少なくありません。


うつ病になってしまうと治療に取り組む意欲が低下してしまう

うつ病を併発すると、体の病気に影響が及んで、なかなか

改善しなかったり、悪化したりすることがあります。


生活習慣の改善がうまくいかない

体の病気が悪化する原因にはいろいろあります。

生活習慣病の場合、治療に取り組む意欲が低下するため、

生活習慣の改善がうまくいかなくなることがあげられます。

例えば糖尿病では、血糖をコントロールするために、

食事や運動をきちんと管理する必要があります。

でも、うつ病を併発すると、食事療法を行ったり

運動をしたりすることができなくなる場合があります。

また、薬を正しく使い続けることが難しくなってきます。


これらの理由によって、うつ病を併発している人は、

そうではない人に比べて血糖コントロールがなかなか

うまくいかないのです。


心筋梗塞を起こした後、うつ病を併発したグループと

うつ病を発症しなかったグループで、心臓病による

死亡率にどのような違いが現れるかを比較した研究が

あります。

すると、うつ病を併発した人のようが、死亡率があきらかに

高くなることがあきらかになったのです。

このような研究をいくつか比較した結果、うつ病を併発した

人の方が、平均で2.6倍も、心臓病によって死亡しやすい

ということがわかりました。


さまざまな身体症状が現れやすい

体の病気にうつ病を伴うことで、もともとある病気の症状が

強く出たり、別の症状が新たに加わることがあります。


うつ病の影響が自律神経系、内分泌系、免疫系などに及び、

病気の経過に悪影響を及ぼすことが、その一因と考えられて

います。

また、ストレスが強くなることで、アトピー性皮膚炎、

じんましん、湿疹、ぜんそくなどが悪化することがあります。


病気と心の動き

抑うつ症状は多くの人が経験するプロセス

体の病気が発症したとき、特にそれが悪性のものや

慢性的なものだとわかったとき、ほとんどの患者さんが

ショックを受けて、その事実を否定しようとします。

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そんなはずはないと考えてしまうのです。

でも、現実は変わらないので、結局は現実と直面する

ことになります。

このときに抑うつ症状が現れます。


抑うつ症状はずっと続くわけではありません。

一般的には、2週間から数週間かけてだんだん現実を

受け入れていきます。

やがて病気であるという現実に適応することによって

抑うつ症状が消えていきます。

こうしたプロセスは、どんな病気にでも起こることなので

特別なことではありません。

このようなプロセスのなかで、病気やさまざまなストレスが

原因でうつ病がおこるケースもしばしばあるため、注意を

しなければなりません。


病気と変化に合わせて心と生活の再調整が必要です。

慢性的な病気では、食事などの日常生活に制限が加わる

ことがあります。

患者さんにとっては心の負担だけではなく、普段の生活への

負担も大きくなります。

例えば、腎臓病で透析療法を受けている患者さんの場合は、

1週間に数回、透析を受けるため、社会生活にも負担が

かかります。

それでもほとんどの患者さんは、この状況を受け入れて

制限のある生活に適応します。

でも、慢性的な病気の場合、治療の途中でいろいろなことが

起きてきます。

生活管理がゆるんで病気が悪化したり、合併症が起きる場合も

あります。

そのたびに、新しい状況を受け入れなければなりません。

これが積もり積もってうつ病になることがあります。


失敗を繰り返すタイプ

一般的に、病気の治療では、薬を正しく使い、生活習慣の改善を

続けなければなりません。

ところが、なかなか継続出来ない人がいます。

やらなければならないとわかっていても、どうしてもできないことが

本人にとって大きなストレスになります。

自分の無力さを感じるようになり、このような人が、失敗体験

の後にうつ病を発症することがあります。


燃え尽き症候群からうつ病になる

食事療法や運動療法など、やるべきことを頑張りすぎた結果、

うつ病が発症することがあります。

熱心に取り組んでいるときはよいが、だんだんそうすることに

疲れて、あるときこれ以上続けられないという状態に陥ってしまう

のです。

糖尿病などによくみられ、糖尿病燃え尽き症候群と

呼ばれることがあります。


うつ病を発症しやすい原因

うつ病の発症には、ストレスの大きさが関連しています。

体の病気のほとんどが人にストレスをもたらします。

体の病気がある人が、うつ病を併発するケースは

珍しいことではありません。

また、ストレスが加わったときに、周囲の人たちから

どのくらいのサポートを受けられるかも、うつ病の発症に

影響します。

サポート環境が整っていないほどうつ病になる可能性が

高いことがわかっています。

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