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アルツハイマー病の治療ではどんな薬がつかわれているのか?




アルツハイマー病の認知機能障害については

薬を使うことによって進行を遅らせることができます。

現在日本で使える薬は1つで進行を遅らせるのが

目的です。

根本的にアルツハイマー病を治すための薬の研究や

開発が進んでいます。


アルツハイマー病の治療では、認知機能障害に対する

薬で進行を遅らせながら、認知機能刺激療法や

回想法などのリハビリテーション等を行う

ことによって認知機能を刺激していきます。

また、BPSDが現れている場合は、適切な介護を行って

対処していきます。

BPSDが悪化したときには、必要に応じて

非定型抗精神病薬や漢方薬の抑肝散(よくかんさん)

などが用いられます。

抑うつがあったり、睡眠障害があれば、

抗うつ薬や睡眠薬を使います。


症状の進行を遅らせる薬とは 日本で現在使われている薬とは、病状の 進行を遅らせるためにドネペジル(アリセプトなど) を使います。


近い将来使用できるようになるとされているのが

リバスチグミン(イクセロン、リバスタッチ)、

ガランタミン(レミニール)、メマンチン(メマリー)

という3種類の薬です。

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どれもアルツハイマー病の症状を一時的に

改善するための薬であって、アルツハイマー病を根本的に

治療するわけではありません。

根本的に治療をするための薬は現在研究、開発がすすめ

られています。

臨床試験の結果が待たれています。


アルツハイマー病の治療に使われている薬とは

2010年12月現在、

日本ではアルツハイマー病の治療につかわれているのは

ドネペジルだけです。

ドネペジルはその働きからコリンエステラーゼ

阻害薬と呼ばれています。

脳が機能するためには神経細胞の間で情報を

伝達する必要があります。


神経細胞の突起の接合部分であるシナプス

では突起の先端から神経伝達物質の一種である

アセチルコリンが放出され、それを次の神経

細胞の受容体が受け取ると情報が伝わります。


そのときにアセチルコリンを分解する

コリンエステラーゼという酵素が放出され

アセチルコリンが分解されることで伝達が

終了します。


アルツハイマー病では、神経細胞が弱ったり

死滅したいするため、アセチルコリンが減って

シナプスの情報伝達機能が低下していきます。


ドネペジルは、自らがコリンエステラーゼと

結合することで、アセチルコリンが分解されるのを

防いでくれます。


ドネぺジルの作用によって神経細胞の間の

情報伝達が改善すると、アルツハイマー病の

病状が一時的に改善したり、進行が遅くなったり

します。


ただし、ドネペジルを使っていたとしても、

アミロイドβの蓄積や、リン酸化したタウたんぱく

の凝集は進んでしまいます。


脳の病的変化が進んでいけば、病状もそれに

ともなって進行していきます。


ドネペジルの副作用はほとんどないが、

吐き気、下痢などの症状が現れることが

あります。


飲み始めるときは少量からのみはじめて

だんだん量を増やしていきます。

そうすることで副作用が出にくくなってきます。


剤形は通常の錠剤の他に、口腔内崩壊錠、

細粒(さいりゅう)、内服用ゼリーがあります。


アルツハイマー病のある人の状態に

合わせて使いやすい剤形を選ぶことも

可能です。


初期の段階では、本人が自分で薬を 管理することができるが、進行をしていくに つれて、薬を飲み忘れてしまったり、 過剰に服用することが起こりやすくなったり するため、家族や周りの人が管理します。


ドネペジルは進行してからでも効果がありますが、

できるだけ早期から服用するのが理想的です。


そのためにも、早期受診・早期診断が

重要です。


近く使えるようになる見込みの薬

ドネペジルと同様の作用をもつ2つの薬

海外ではアルツハイマー病の治療薬として

すでに使われていて、日本でも近いうちに

使えるようになる見込みの薬があります。

3種類ありますが、これらの薬がもし

使えるようなれば、ドネペジルと

組み合わせて使ったり、ドネペジルの効果が

見られなくなったとしても、他の薬に

切り替えることができるようになります。


3種類の薬のうち、リバスチグミンと

ガランタミンは、ドネペジルと同じ

コリンエステラーゼ阻害薬に分類されます。


リバスチグミン

ドネペジルとはほぼ同様の作用を持っている

薬です。

日本では、パッチ剤(貼り薬)として開発を

進めています。


パッチ剤は服用を拒否する人であっても

背中などにはることによって治療ができるように

なります。


また、内服薬だと飲み忘れてしまっても

パッチ剤なら見えるところに貼っておけば

薬を使っているかどうか確認できます。

ガランタミン

コリンエステラーゼの働きを阻害する働きに

加えて、脳全体にあるニコチン受容体と刺激

することにより、認知機能を高めるという

働きがあります。


メマンチン

メマンチンとは、ドねパジルとは違う

作用を持っている薬です。

この薬には、神経細胞が死滅して減少

するのを抑える作用があります。


神経伝達物質にはいろいろな種類があって、

その1つにグルタミン酸という興奮性

の神経伝達物質があります。


このグルタミン酸を受け取る受容体

の1つがNMDA型グルタミン酸受容体

で、グルタミン酸が増えて、この受容体

が過剰に刺激されてくると、神経細胞

に毒性が及んで、神経細胞の機能低下や

死滅を招いてしまいます。


メマンチンは、NMDA型グルタミン酸受容体

に対して、ふたをするように結合して、

この受容体が、グルタミン酸により過激に

刺激を受けるのを阻害してくれます。


アルツハイマー病のある人の神経細胞

は、グルタミン酸が過剰に放出される

ことによって、神経細胞が興奮状態になって

いることが多いと考えられています。


そのため、この薬が効果を発揮します。


メマンチンには重い副作用はないが、

頭痛、浮動感などが生じる場合があります。